ベトナムで働く

        

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ベトナムで3年間働いた日本人女性の話

「自分の意思でベトナムで働く」。ベトナムに魅了される彼らの多くは、料理や雑貨、もしくは人を通してベトナムと出会い、ある人は何度もベトナムを訪れるようになり、ある人たちはベトナムで働くことを選ぶ。そんな彼らを魅了する点に迫るべく、ベトナムで3年間日本語教師として働いた経験を持つ1人の女性を紹介したい。

 「大学を卒業し、日本で就職をしてからも、ずっと海外で働くことを意識していました」。

中学時代の好きな勉強は英語。大学の学部も英文科。海外で働くことはその延長にあり、Sさんにとっては自然なことでもあった。

初めての海外暮らしは大学卒業後にワーキングホリデーで渡ったオーストラリア。勉強してきた英語と現地の英語があまりにも違いすぎ、必死に勉強に打ち込んだという。

 日本に帰国後は、社会人としての経験、知識を養うため日本で働いた。

「その間も海外で働くことをずっと意識していました。海外に出るためには何が必要か?それを考えていたときに出会ったのが『日本語教師』という職業。会社に通う傍らで資格取得の勉強をしていました」。

そしてベトナムと出会う。きっかけは、日本語教師の資格取得のために必要な実習期間の学校がベトナムだったのだ。

「先生という職業柄からか、自分を必要としてくれる、個人として見てくれるということが嬉しくて。日本で働く中では感じることのなかった『自分にしかできない仕事』ということを強く感じました」。

 実習期間を経て日本語教師の資格が取れると、次はベトナムでの仕事を探した。インターネットを使って情報を探し、無事ベトナムでの就職先は決まった。後は、渡航までの準備。海外で暮らした経験があるにしろ、短期間住むわけではない。渡航までの不安は大きかったことだろう。

「最後は思い切り、です。言葉の面とか衛生面の不安は拭い去れなかったけどダメだったら戻ってこればいい!って思って」。

 それからSさんはベトナムで3年間働いた。時間が経つにつれ、生活者としての視点から見えたベトナムはどのようなものだったのだろう。

「今のベトナムは経済も成長しているし、激動の時代を体験できる。ベトナムの最大の魅力はここだと思っています。刺激のある日々の中、日本での経験を活かしいろんなシステムを作っていく。元々のシステムがしっかりと作り上げられている日本では得られない喜びや楽しさがベトナムにはありました」。

 しかしながら、当然生活者の視点になると必ずしもいいことではない。Sさんは、ベトナムに移住をしてから自分の安心できる住居を探すことにとても苦労したという。「公安に届けを出すことが必要であったり、デポジットを取ったりする交渉の常識が分からないために2年間の間に6回は引越しをしました」。

 そしてベトナムの醍醐味の1つでもあるバイクの洪水。日本のように電車は整備されておらず、ベトナムの人々はバイクを足代わりとして使う。しかしそこに暮らす外国人にとっては、ベトナムの日常に溶け込むことは簡単なことではない。

「安心して好きな土地で働くことができたらそれは嬉しいこと。私にとっては住居と通勤の問題が大きかったです」。

 現在は日本に帰国しベトナムに関わることのできる仕事をしているSさん。最後の質問に、彼女にベトナムで働いた3年間をどう思うかを訊ねてみた。

「行って良かったと思う。そしてチャンスがあればまた行ってみたい。必要とされることを実感できるし何よりも人間として生きていられる。あくせく働くのではなく、ベトナムでは不思議と穏やかに生きていけるんです」。

 自分の意思で、ベトナムで働くことを選び得たこと。彼女にとってそれは日本では見えづらい自分らしさだったのかもしれない。